こんにちは、代表の佐藤です!

「事業計画書」と聞くとなんだか難しそうで、身近には感じられませんよね。
ですが、美容室やネイルサロン、エステサロンなどを開業するにあたっては、避けては通れない道です。事業計画書の作成1つで開業資金の融資が受けられるかどうか、その後の経営がうまくいくかどうかが大きく変わります。今回は事業計画書に必要な項目や、実際に当社が使用している実例を交えて、事業計画書の書き方をご説明します。

1, 事業計画書とは

事業計画書とは、融資を受けるためだけに作るものではなく、それ以降の運営の指標になるものです。どんなサロンにして、どんなお客様に来店をしてもらうのか。サロンをオープンするにあたっての必要な資金はいくらで、その後毎月いくらの経費がかかるのか、などの見通しを作成することで、金融機関からの融資を受けやすくし、経営の指針とします。

2, 事業計画書に必要な内容

事業計画書に必要な内容は大きく分けて3つです。

・会社概要(社長略歴を含む)
・どんなお店にするのかというコンセプト資料
・売上や利益の試算表(数字で語るもの)

「どんな会社(オーナー)が経営をするサロンで、こんなお店にしたいと思っていて、数字上ではこれくらいの売上と利益になる予測です」といった流れをイメージしてください。

2-1, 会社概要(社長略歴)に関して

法人であれば自分の会社のこと、個人であれば自分のことを説明する資料です。

融資を希望する際に多くの方が相談をする日本政策金融公庫の場合は「企業概要書」というものがこれに当たります。

これに関してはシンプルに、会社の設立年次や、個人の経歴に関して書きましょう。経歴の詐称はもちろんNGです。

2-1-1, 会社概要や個人経歴の書き方ポイント!

この資料は、金融機関が、どんな会社や個人が経営するサロンなのかを知るために提出するものです。経営に関しての経験があったり、美容師やネイリストとしての資格、受賞歴がある場合には積極的に盛り込んでいきましょう。

2-2, どんなお店にするのかというコンセプト資料

次にどんなサロンを開業するのか、定性的(数字ではないイメージ的な)資料を作成します。プレゼンで使われるような資料をイメージしていただければ大丈夫です。

当社の場合、この資料を作成する時には、

・どんなお客様をターゲットにするのか
・競合と比べてどんな優位性があるのか

という2点を意識した資料作りをしています。

<ターゲットに関して>
「自分たちのサロンが得意とするお客様の層」と「開業エリアのお客様の層」が一致するという証明が大切です。例えば、若い子たちに好まれるような内装を考えていて、カットカラーも今流行りのものを取り入れたサロンが「おばあちゃんの聖地巣鴨」に出店するとなっても、事業はうまくいきそうもありません。

当社は2店舗目を開業する際に融資を受けていますが、その時には、現在売上が上がっている1店舗目のお客様層と、次に出店をする予定のエリアのお客様層が似ているから、次でも成功が予想できる、という事業計画の書き方をしました。

<競合と比べてどんな優位性があるか>
美容室でも、ネイルサロンでも、マツエクでも、エステでも競合は必ず存在します。

その競合のお店と比較してどうなのか、という視点で資料作りをすることが大切です。
競合と比べてここがいい!という項目を伝える際には、あまり技術のことではなく、駅からの距離や値段など、「誰が見てもわかるようなこと」に着目しましょう。

これは実際に、当社が使用した事業計画書の資料一部です。
他のサロンと比較した時の駅からの距離×価格帯をグラフにして分かりやすく証明してあげています。

融資を依頼する金融機関の方は、サロンのことに詳しくはありませんので、分かりやすい書き方をしてあげることを意識しましょう。

「どこに開業をするのか」という点も非常に大切なポイントです!物件だけは唯一「あとから変更ができないもの」ですので、こちらも参考に間違いのない物件選定をしましょう!
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2-2-1, どんなお店にするのか資料の書き方で伝えるポイント!

伝える相手は美容業界に詳しい人ではない!ということを忘れないでください。

資料はあまり細かく作り上げる必要はなく、ストーリー立てて、分かりやすく開業予定のサロンの強みを示してあげてください。

2-3, 売上や利益の試算表に関して

次に売上と利益の予測を「数字と根拠」に基づいて示します。これが事業計画書の最も大切な項目となります。融資を受けたお金は必ず返済をしないといけませんが、その返済費用は「売上」からではなく「利益」から支払うことになります。つまり、どれくらいお客様が来店され、売上が上がるかという数字よりも、それにはいくら支出が必要で、「最終的にいくらの利益が出るか」という数字が大切になります。

2-3-1, 【試算表/売上の項目】売上の予測の立て方

まずは売上の予測の立て方です。売上は「来客数×客単価」で決まりますが、美容室やネイルサロン、エステで、客単価が他のお店の何倍にもなることは考えられないでしょう。そのため客単価は通常平均値くらいを考え、来客数を予測します。
お店の来客数の上限は、施術面の数とスタッフの数によって決まります。つまり売上の上限もそれによって決まります。

通常、集客が上手くいっている場合は、

・美容室→1面(1スタッフ)で70万〜90万の売上
・ネイルサロン→1面(1スタッフ)で50万〜60万の売上

くらいが1つの目安になるかと思います。

ただ、4面が取れるサロンを開業したとしても初月からフルに4名体制で施術をできるわけではないと思いますので採用計画と合わせて売上予測も変えないといけません。

2-3-2, 【試算表/支出の項目】開業の初期費用や設備投資の予算の書き方

開業にまつわる初期費用、設備投資の金額を明らかにしていきましょう。

主にかかる費用は次の通りです。

・物件を借りる資金(保証金、敷金、礼金、保証委託料、火災保険料)
・外装工事費
・内装工事費
・原材料(カラー剤、シャンプー、ジェル、など)
・設備費用(テーブル、椅子、シャンプー台、鏡、など)
・その他店舗内備品(パソコン、金庫、ロッカー、冷蔵庫、レンジ、など)

これらの項目に分けて必要となる費用を入れていきましょう。

最初に必ずかかる費用を計算しておくことで、その後どれくらいの期間で初期費用が回収できるのか目処をつけることができます。

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2-3-3, 【試算表/支出の項目】開店後の必要経費の予算の書き方

最後に毎月かかる費用を計算します。
サロン経営をするにあたり、毎月かかる費用には次のようなものがあります。

・賃料
・光熱費
・給料
・法定福利(雇用保険や社会保険料など)
・広告宣伝費(主にホットペッパービューティーの費用になるかと思います。)
・通信費(電話代やインターネット利用料)
・交通費
・税理士や社労士事務所に支払う費用

これらも上記の項目に分け、それぞれ計算します。
特に気をつけたい点は、賃料と広告宣伝費です。この二つは大きな支出となるだけでなく、売上が上がっても下がっても基本的に毎月一定額を支払うため、黒字になるか赤字になるかを分ける大きなポイントとなります。

*広告宣伝費が毎月変わらないのは、ホットペッパービューティーを利用していると基本的に年間契約となるためです。

2-3-4, 試算表を作成するポイント!

数字がざっくりとしている事業計画書は信用をしてもらえませんし、何より自分の経営のためになりません。特に支出に関しては、上記の項目に従って細かく分類をし、節約できるところがないか探しましょう。

3, 実際に当社が使用した事業計画書の試算表

これは簡易版ですが、このように売上の予測の下に毎月の支出を入れています。

その支出の根拠となるものは別資料で用意し、初期費用も別枠で計算することで、表を見やすくしています。なるべく分かりやすい書き方を心がけましょう。

詳細の数字はさすがにここではお出しできませんが……
お問い合わせをいただければお出しすることも可能です。

4, 経営者やオーナーの人間性もチェックされてます!

資料を提出して終わり、ではなく、金融機関から融資を受ける際には、必ず面談があります。そこでこのような事業計画書や、試算表をもとにプレゼンをするわけですが、資料の出来だけではなく、オーナーの人間性も観察されています。

清潔感のある服装で面談に行くことや、挨拶、受け答えなども重要な要素ですし、「信頼できない」と思われてしまったら融資は受けられませんので、十分に気をつけるようにしてください。

融資を依頼する際に多くの方が選ぶ日本政策金融公庫の新規開業資金制度に関して実際の経験を踏まえ解説をしました。
日本政策金融公庫から-新規開業資金を借りるポイント

5, 【融資に関して】金融機関とのやりとり

当社は、美容業界だけではなく、いろいろな業界の会社さんのコンサルをしてきました。そのたくさんの経験を積んできた上で、自分たちでサロン経営をしていますが、正直に言うと、美容室、ネイルサロン、マツエクサロン、エステなどの美容業界で、出店するための融資を受けるのは「非常に難しい」と思っています。なぜなら、

・流行り廃りが激しい
・競合がたくさんいる
・オーナーが若い

という点が挙げられます。金融機関で嫌な思いもたくさんすると思います。

そんな中で、当社は美容サロンへの資金調達を100%で成功させてきました。それは、当社が持ついろいろな経験と、金融機関との繋がりがあるからです。

今まで借り入れがうまくいかなかった方、一人でやるのは心配な方、ぜひ一度ご相談ください!我々も同じ美容サロンの経営をしていて、お悩みも共有できますし、ぜひ一緒に乗り越えましょう!

6, まとめ

いかがでしたでしょうか?
美容室やエステの事業計画書の書き方はいろいろと難しい点が多いですね。
事業計画書の書き方をしっかり覚えて、融資だけでなく、今後の経営にも活かしてくださいね。

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