美容室を経営している方にとって日々の資金繰りは本当に頭を悩ませることだと思います。あまりにも利益が残らないから、他のサロンの利益率ってどれくらいなんだろう…?と気になってしまうと思います。
当社では色々な美容室の経営環境を改善に導いてきたからこそ、高利益率を出しているお店のノウハウを把握しています。ぜひ1つでも実行してみて、利益が残せるサロンになってください。
目次
1, まずは抑えよう!利益率とは?
「利益率」という単語をよく耳にしますが、人によってどこの利益率を指しているのかに違いがあるケースがあります。粗利益率や、営業利益率、経常利益率、税引き後当期純利益率などいろいろなものがありますが、ここでいう利益率とは「営業利益率」を指すこととします。
1-1, 粗利益率
粗利益とは、売上から原価(材料費)を引いたもののことを言います。
美容室で言えば売上が300万円、シャンプーやカラー剤などその売上を作るために必要であった原材料が30万円であれば、300万円−30万円で粗利益は270万円。つまり粗利益率は90%となります。正直に申し上げて粗利益率はあまり気にする数字ではありません。というのも原材料以外にも家賃や光熱費、広告掲載費用など他にかかる支出の方が圧倒的に高いためいくら粗利益率がよくても赤字のケースは多々存在するためです。粗利益率を改善するためには「売上を上げる」か「原材料費を落とす」という二択しか存在しません。
1-2, 営業利益率
営業利益率とはその名の通り、そのお店を営業していて最後にいくら利益が残ったのかというとても大事な指標です。営業をしていくには、原材料費だけではなく、家賃、光熱費、人件費、広告宣伝費、通信費などたくさんの費用が必要です。売上からそれらの支出全てを差し引いた後にどれだけの利益が残ったか、という数字が営業利益であり、営業利益率です。
1-3, 税引き後当期純利益
この記事の中で大切にしてもらいたいのは営業利益率ですが、経営として最も大切なのは「税引き後当期純利益」と呼ばれるものです。法人の場合決算をし、今期の利益が確定をしたらその額に基づいて法人税などを支払わないといけません。その税金を支払った後にいくらの現金が残るのか、という点が税引き後当期純利益と呼ばれるものです。つまり最後に手元にいくら残るのかという数字のため、次の新しいお店を出す費用や、人材を採用するための費用などはここからしか生まれません。
2, 美容室の営業利益率
一般的に美容室はどれくらいの営業利益が出ているのか、経営者の方々にとっては非常に気になるところだと思います。もちろん各店舗によって様々ですが1つの目安になる数字をお伝えできればと思います。
2-1, 美容室の営業利益率モデル
売上300万の美容室の場合、これくらいの支出感覚が一般的だと言われています。
項目 | 比率 | 金額 |
売上 | – | 3,000,000円 |
原材料費 | 9% | 270,000円 |
広告宣伝費 | 12% | 360,000円 |
人件費 | 42% | 1,250,000円 |
家賃 | 12% | 350,000円 |
水道光熱費 | 8% | 240,000円 |
通信費&雑費 | 4% | 120,000円 |
福利厚生費 | 4% | 125,000円 |
営業利益 | – | 285,000円 |
この表のように美容室の場合、営業利益率で7~10%ほどを出せるといい経営をできていると言えるかと思います。売上に対して人件費が占める割合が非常に大きいと思いますが、一般的に集客のできている店舗の場合にはスタッフ一人あたりの売上は約60万円〜70万円。集客にも成功していて客単価も低くない場合には80~90万円くらいになります。これらはいいケースですが、まだスタイリスト歴が浅くメニューにフルで入れない場合には同じくらいの人件費がかかるにも関わらず個人の売上が30~40万ほどになってしまうケースも珍しくなく、その場合人件費が高騰するため営業利益率も下がります。
余談にはなりますが、ネイルサロンやマツエクサロンの場合には、原材料費が売上の3%ほどで、且つ水道代がかからないため営業利益率は20%~30%ほどまで上がるケースもあります。
3, 美容室の利益率を上げる方法!
それでは上記の支出モデルをベースにしながら、美容室の経営にとって、何をすると利益率は上がるのか?逆に何をしてしまうと利益率が下がるのか、1つ1つの項目ごとに解説をしていきます。
3-1, 原材料費
原材料費は支出の7%〜9%を占めます。この原材料には主にシャンプーやカラー剤、パーマ液などが含まれるため大きく節約できる項目ではありません。ですが、仕入れというのは基本的に「定期的に」「大量に購入」すると安くしてもらえるケースが多いため、毎月必ず購入します!や3店舗分全部あなたのところから購入します!というような交渉をすることで仕入れ価格を安くし、営業利益を確保することは可能です。弊社の経営するサロンの場合では2店舗になった時に5%のディスカウントをしてもらいました。
3-2, 広告宣伝費
広告宣伝費は主にホットペッパービューティーの費用になるケースが多いと思います。
むやみやたらに高いプランにして掲載順位を上げようとしてませんか?もちろん検索をした時に上位に表示されていることは大切なことですが、たくさんのPVを獲得したところでスタッフが少なくて予約が取れない状況や、PVはくるけれども写真や口コミが充実しておらず予約成立に至らないのではお金の無駄遣いです。またFacebookやインスタは利用してますか?無料で使えるSNSも強力な集客ツールとなります。
まずは口コミを増やす努力をすること、そしてスタッフにブログを毎日更新してもらいそこから集客につなげること、そしてSNSで拡散をしていくことが大切です。原材料費も人件費も家賃も半分にすることは不可能な項目ですが、広告宣伝費であれば可能です!この12%の支出が半分になるだけでも営業利益が倍近くになります。ぜひいろいろな案を練ってみてください!
もしSNSでの集客に興味がある方はお気軽にご相談ください!インスタ運用3ヶ月で横浜エリアでNo1のフォロワーを集めた事例などいろいろお話できます!
3-3, 人件費
人件費は無理に削減しない方がいい項目です…
スタッフのやる気に関わるので、できるのであれば高い給与水準を担保してあげたいですよね。また人件費を下げるとスタッフの採用も難しくなるためデメリットだらけです。そのため、サロン経営stylebookとしては給与はいじらずにその他の経営努力で利益率を改善しよう!という考え方を持っています。
とはいえ、売上の42%の割合を占める一番大きな支出ポイントでもありますので、あまりに高い固定給与を設定せずに、何割かを指名売上の成果報酬として給与を支払うことで売上アップにも貢献してくれて、会社の経営としてもダメージの少ない給与形態を作ることはできます。
3-4, 家賃
家賃は最初に決まるため日常の経営努力ではどうにもならない点です。
そのため最初の物件選択が肝となりますが、家賃の相場は「3日分の売上」と言われていますのでそれをはるかに超えるような家賃の場合は、経営が行き詰まる可能性があります。つまり月の売上が300万を想定しているのであれば30万〜35万くらいまでが家賃の相場だと思ってください。もう開業をされている方は売上を家賃を照らし合わせて、それが6日分にも7日分にもなっていたら、家賃が経営を圧迫している可能性があるので、もう少し安い物件に引っ越すなりの対策をとった方がいいです。
3-5, 水道光熱費
水道光熱費は抜本的な対策はありません。
どうしても使わなければいけないものですし、額としてもそこまで大きくはありませんから、日常的にスタッフに無駄づかいをさせないような心がけをさせることで少しでも利益を残せるようにしましょう。
3-6, 通信費雑費
電話代やインターネット代も数千円ではありますが削減できる項目です。
営業の電話がサロンにかかってくることも多いと思いますが、あまり邪険に扱わず、話を聞いてみると、実は今と同じ条件で安くなるような提案を受けることがあります。月々の削減できる金額は安くでも長く使うものですので、可能な限り節約をして利益を残せるようにしましょう。
4, リピーターを増やしましょう!
支出の各項目を少しずつ削減していくことも非常に大切ですが、美容室の利益率改善にとって最も気にしなければいけないことはリピーターさんの再来です。多くのリピーターさんに愛されているサロンは自ずと高利益率になります。その理由と、リピーターさんを増やす手段をご紹介します。
4-1, なぜリピーターが多いと利益率が良くなるのか
1つ目の理由は、広告宣伝費を下げられるからです。
基本的に広告というのは新規のお客様に来店をしていただくために使います。新規でお店にきて下さってリピーターになる方は、次の予約をする際には広告など関係なくお店に連絡をくれます。広告宣伝費というのは非常に大きな支出ですので、リピーターさんの数が増え、新規のお客様と広告に頼らなくていい仕組みができると利益は増えます。
2つ目の理由は、リピーターさんほど客単価が上がりやすいということです。
自分自身に置き換えてみると経験があるかもしれませんが信頼している美容師さんに、これもいいですよ!と追加のメニューを提案されると、やってみようかな…と思ってしまいます。お客様がお店とスタッフを信頼してくれると、お支払いいただくお金も上がる傾向がありますので、それも売上を上げるという意味で利益に貢献します。
4-2, リピーターの増やし方
リピーターの増やし方は沢山あります!
根本的にはお客さまに満足して帰っていただくことがリピートに最もつながりますので小手先のテクニックは必要ないのですが、やってるかやっていないかで、大きくリピート率に変化が起きる施策もありますので、下記のような施策をやっているか振り返ってみてください。どれもほとんど費用をかけずにできるリピート施策ですので、利益改善にはもってこいです。
・LINE@の友達登録を促進してますか?
・スタンプカードなどでポイント特典を設けてますか?
・暑中見舞いや年賀状などDMを送ってますか?
・ホットペッパービューティーのメルマガやクーポンを送ってますか?
・Facebookやインスタの更新をしてお客様の目に触れる機会を増やしてますか?
5, まとめ
今回は美容室の利益率に関して解説をしました。
オーナー、スタッフ、お客様、三者が皆喜ぶためには利益を出し続けなければいけません。利益がでなくて悩んでいるオーナーさん、まだまだ出来ることはたくさんあるはずですから、1つ1つ改善をし経営環境を豊かにしていきましょう。